暮らしぶり//「そふと」の日記ページです。
2009/11/07 (Sat) テーブルクロス

テーブルクロス

先週末、テーブルクロスとテーブルマットの中間のようなものを作った。なぜこんな中途半端な幅なのか、と不思議に思われるかもしれないが、このダイニングテーブルは長方形の長辺が緩やかにカーブしていて、その部分を隠すのが残念だったからだ。また、ふだんは夫婦ふたりでしか食事をしないので、こんなふうにしてみた。

お客様を呼んだとき用に、テーブルマットも作ろうと思う。

出来事 | comment(1) |


2009/10/30 (Fri) Barber's Lull まとめ

床屋での静けさ     ポール・ファーリー

ぼくの頭のてっぺんからほどける 髪の気象系
ぼくと一緒に生まれ出た 黒いモヒカンに
分娩室で 笑いがどっと起きたときから
高気圧の形をしている ぼくは床屋が 青年時代の逆毛と

枝毛のあたりを時計回りに切っていくのを
見つめる 今ぼくは 彼が耳の回りを切りながら
近づいてくるのを感じ チクタク鳴るはさみのねじと
ざらざらした切り目を感じる

前髪を切る間 ぼくらはにらみあう
彼の勝ち そして彼は一歩下がり 自分の作品を
見てから 大きな鏡でもういちど
見ているぼくらを見る けれどぼくの心は

別のことを考えている 実は地下のことを
ぼくの長骨が 埋葬された髪のふくらみに
宝石のようにはめこまれている様子を 想像して
ぼくは床屋に これでいいですと伝える
椅子に座ってから 最初に交わした言葉

長い間 ぼくの髪を切っていたので 言葉なしでも伝わっている
ぼくは うなじを映す鏡に 首がこっくりし出すのを見ると
自分が作った輪の外へ足を踏み出し
そんな考えを掃きのける 次回床屋を訪れるまで

* * * * * *

多少変えてみたところもあるけれど、こんな感じ。考えてみれば、わたしの場合は床屋でなくて美容院だが、髪を切られている時間は日常生活のなかにありながら、時間の流れ方が外とは違うように思える。そして、ふだん気づかない自分を意識する時間でもある。

この詩のおもしろいところは、誕生の思い出と死の空想が、髪を切られているという現実でのできごとと同時に描かれているところだ。絵的に見ていくと、高気圧のうずまきから始まって、時計回りに髪を切られ、最後には自分の輪(髪の毛)から踏み出すという、自分の頭から出発した円形の動きが最後に自分を囲み、そこから踏み出すという動きがおもしろいと思う。

それにしても、題名の「静けさ」はいまいち、lullの意味をよく伝えていないような気がする。なぜならこの詩では、外界の活動から一時的に切り離された状態の静けさを、台風や暴風雨の合間に発生する一時的な静けさにたとえて表現しているからだ。でも、「床屋での一時の静けさ」ではちょっと長い気もするし。辞書には「凪」という訳語も載っているが、これだと訳しすぎかな。

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2009/10/29 (Thu) Barbar's Lull 5

最終連。

He’s been doing me so long it’s all unspoken.
I watch a nod begin in the nape mirror,
then step outside the ring of my own making
and sweep aside such thoughts, until the next time.

長い間 ぼくの髪を切っていたので 言葉なしでも伝わっている
ぼくは うなじを映す鏡に 首が傾き出すのを見ると
自分が作った輪の外へ足を踏み出し
そんな考えを掃きのける 次回床屋を訪れるまで

* * * * * *

unspokenという言葉は文字通り「話されていない、無言の」という意味だが、何も話さなくても理解しあっているという意味も含むので、ここではこう訳してみた。この床屋はほとんど話さずに仕事をするようだ。イギリスの床屋さんすべてがこんな感じではなく、話す人もたくさんいるようである。2行目の首が傾くとは、居眠りし出すということ。でも作者はすぐに、「自分が作った輪の外」に踏み出す。この輪は、切られた髪の毛が床に落ちて自分を囲んでいる様子だと思う。sweep asideの目的語は、髪の毛を切られている間頭に浮かんできたことだが、sweepという言葉は髪の毛を掃くことにもつながっているので、うまくできている。

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2009/10/23 (Fri) Barbar's Lull 4

4連目。

is elsewhere – underground in fact, picturing
my long bones set like jewels into a pad
of grave-hair – I sanction him, the first word
that’s passed between us since I took his chair.

別のことを考えている 実は地下のことを
ぼくの長骨が 埋葬された髪のふくらみに
宝石のようにはめこまれている様子を 想像して
ぼくは床屋に これでいいですと伝える
椅子に座ってから 最初に交わした言葉

* * * * * *

この連が読解上いちばん難しく、不明点が残ったままだ。まず、grave-hairという単語が、辞書やネットで調べてもそれらしいものが見当たらない。作者は地下のことを思い描いており、graveは墓所という意味なので、古代の貴人が埋葬されたときに一緒に埋められた髪や宝石のことを想像していると解釈してみた。long boneは「長骨」の意味で、上腕骨、肋骨、大腿骨を指すらしい。この場合はなんとなく肋骨という感じがする。a pad of grave-hairは、髪の毛が束ねられてふくらんでいる状態なのか、それとも髪の毛を寝かせてある枕なのか、よくわからない。

sanctionは相手にそれでいいと許可を与える意味なので、こういう切り方でよかったか床屋に聞かれて、いいですよと答えているのだと思う。

1連につき4行と揃えられている詩なので、訳も4行に揃えたいのだが、どうしても1行が長すぎてしまうので行を増やしてみた。ほんとうはあまりそうしたくないのだけれど。

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2009/10/20 (Tue) Barbar's Lull 3

3連目。

We go eyeball to eyeball for the fringe:
he wins, then takes a step back, has a look
at his work, then looks again in the big mirror
at the two of us, looking: and though my mind

前髪を切る間 ぼくらはにらみあう
彼の勝ち そして彼は一歩下がり 自分の作品を
見てから 大きな鏡でもういちど
見ているぼくらを見る けれどぼくの心は

* * * * * *

eyeball to eyeballも初めて聞いた表現で、にらみあうの意味。辞書には(特に怒って)とかっこ書きしてあり、「にらみあいのけんか」という意味でeyeball-to-eyeball confrontation(この場合は形容詞)という表現も載っていた。床屋が前髪を切る間、じっと見つめあう状況をユーモラスに表しているのだろう。次の行で「彼の勝ち」とあるので、作者は目をつぶってしまったのだろうか。このへんが実に、この詩人の芸の細かいところだ。

見ている自分たちを見ているというのは、鏡ならではのことで、よく考えるとおかしな構造の絵だと思う。

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